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フリゲ雑記15

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 日々、ゲームを楽しむ気力が衰えてきているなと痛感する。昔と比較してのことだけれど、第一印象で選別する機会が多くなった気がする。上手いか下手かとかではなく、デフォ素材か自作かで見て、デフォ素材が多めであまり魅力的に思わないと、目を通すことがないことが増えた。
 以前は外見に左右されずに、とりあえず内容まできっちり読んで、物語の面から惹かれるところがあればすぐにダウンロードするのに、今や外見で通過してダウンロードしても、操作面で操作しづらい点を感じたら、早々に投げ出してしまうところがある。

 過去にやったゲームが特別、様々な面で快適で良かった、というわけではない。事実、思い出の中では「あのゲーム凄く面白かったな」とすべてにおいて良い印象があったはずのゲームを今になってプレイしてみたら、「あれ、こんなのだったっけ?」と思い出の中の快適さとは程遠い感覚を持つことがあった。
 それはたぶん、いやきっと、自分の中の「楽しむ能力」が衰えてきているのだと考えている。辛抱強く、小さな楽しみを見出すように、ゲームに寄り添えなくなってきている。ちょっとこれはよろしくない。

 ゲームは娯楽作品ではあるが、フリゲに関しては単なる娯楽として消費したくないと感じている。そういうものを目指しているならまだしも、無理してプレイヤーに合わせて小さく纏まったり、媚を売ったりしなくてもいいと思っている。
 娯楽作品としてのゲームを求めるなら、大手企業の作品を手に取るし、フリゲや個人制作のゲームはある種予想外の方向にぶっ飛んでおいてほしいという願望がある。理不尽な仕様や人を選ぶ物語、複雑な操作性や独自性のある自作イラストなど、むしろその尖った感じが「その人にしか出せないもの」という一点物としての魅力があって、そこに惹かれていた。

 ……話したい内容から離れていっていないか? ええっと。なんだかふと、無料ゲームの数が世に多く溢れている上、大手企業からも質の高い基本無料ゲームが世に放たれて、それを当たり前と化して「無料でも、ある程度のクオリティが欲しい」「ゲームは快適じゃないとダメ」とか、そういったものに侵されてきてるなと感じたので、呑まれないように気を付けて初心を胸に刻まねばなと思った次第でございますはい。
 少なくとも、「ゲームだったら俺を楽しませろ」みたいにお客様根性を出すようなプレイヤーにだけはなりたくない。「楽しくない」とへそを曲げて不満を言うよりも、「楽しいところを見つけてやるぜ」と意欲的に面白い点を見つけるプレイヤーになりたい。後者の方が実感としては、ゲームと向き合っているとき凄く楽しかったので……。

 寒くなってくると、妙に感傷的になるなあ~~~~。改めて、以前のように楽しむ力を育て直していくぞ。
 追記からプレイしたフリゲ雑記です。

 以下のフリゲの感想を書いています。
 各タイトルを押すと、そこまで自動でスクロールされます。

■のろいあれ と いって(ADV)
■棺 -生命のない歌-(横スクADV)
■オバケ・ファミリー Stay Away, Stay Home(パズルアクション)
■ピクロジカル(パズル)
■ベビーシッター2XXX(ノンフィールドRPG)
■Cigar In The Room(脱出+雑談ゲーム)

■のろいあれ と いって(ADV)
 この村は、調和を乱す村人を山に捨てて、村の中での調和を保ってきた。しかし、いずれ山は村を恨み、憎み……。

 村から追放されてしまった男の子を誘導して、復讐のお手伝いをするADVゲームです。作中内にセリフのようなものは存在しておらず、静かな環境音と異形の鳴き声、骨を踏みつぶす微かな音など、全体的に雰囲気で物語を察するゲームとなっています。本編開始前にあらすじを任意で見ることもできるので、そちらに目を触れてから本編に挑むと良いでしょう。
 色数の少ない淡いタッチの自作ドット絵は、見事に空気の重々しさや村社会での歪な泥臭さを演出しています。
 ED分岐といったものはありませんが、難易度の「かんたん」「むずかしい」そのどちらを選ぶかによって、道中でのちょっとしたことや、最後の演出が僅かに変化します。

 山に放り出されてしまって、どうすればいいかわからない? ご安心ください。やることはシンプルです。山に棲む者に近付き、Cキーを押して、あとはその遺体を生贄として一定の場所に集めましょう。そして、ある程度の数が集まったら、最後にあなたのひと押しで復讐は完了します。

 初プレイ時はそこまでやり込めていませんでしたので、改めて再DLして、細かい点もやり込んでいました。山に棲む異形の者はランダム配置なのかはわかりませんが、一定数集めたあとも生贄を求めてウロウロしていて、途中で「自分と同じ人種の女の子」を見つけたときは慄きましたね。ひええ……。
 お話しできるかな? できないだろうなあ……と考えつつ、あのキーを押したのは言うまでもない。あの山にずっと居続けると、異形になるのだろうか。

 そして、最後のひと押し。まさかここで、タイトルの重要性が問われるとは思いもしませんでした。タイトルがここにすべて終結している……凄い……。そこで終わりではなく、最後の最期のひと押し。滑らかに動く男の子を見ながら、好奇心からのひと押し。
 これらの演出は、ゲームENDと表記されてから少し時間を置いてから発生するものなので、自分も下手をするとそのまま終わったんだなと終了してしまってた可能性もある。(事前にちらりとレビューを見て、細部のヒントを見てしまっていた)

 基本的に難易度で詰まることはないと思われますが、より過酷な弱肉強食の世界を堪能したいのであれば、難易度を「むずかしい」にして、なおかつできる限りの生贄を見つけて持っていくといいでしょう。道中から恐れおののく状況になります。いつまでも狩る側だと盲信してはならない……。難易度「むずかしい」でのあの女の子が一番の恐怖です。

 二回目にプレイしたバージョンは1.05ですが、むずかしいの最後の演出が加えられているようですね。へへ……へへ……にじり寄る恐怖……。一度前verでクリアした人も、また再プレイしてみてください。
 深海を探索する、前作の「マインテルの弟」も自作ドット絵で美しいので、ぜひともどうぞ。


■棺 -生命のない歌-(横スクADV)
 本作は四部作構成となる、生命と死を題材にした「いのちのないうた」シリーズの第三部となっていますが、前作などを未プレイでも何ら問題はなく、各シリーズは一つの独立した物語となっています。いやでも、前作二つをやってると見覚えのある共通点がいくつかでてくるのもあるぞ……。

 白い仮面をつけ、喪服のように黒い衣服を纏った双子が、流れ着いたものたちを棺に納め、葬儀を行っていく横スクADVとなっています。ED分岐やゲームオーバーなどはなく、交互に双子を操作しながら、必要なものを拾い集める一本道のストーリーです。
 それぞれの物語は直截的な表現ではなく、比喩や暗喩などが多分に含まれています。独立した物語となってはいますが、第一作目の「命のない唄[A-Garden]」をプレイしていると、流れ着く人々の素性をより深く知ることができるだろう。
 双子は、流れ着いた人々……自殺して彷徨って流れ着いた魂たちを、綺麗に装うことで浄化させようとしているのだろうなあと解釈しました。

 本作の中でもなんともいえない魅力が、ゴシック調でクラシカルなグラフィックと、厳かに葬儀が執り行われる演出です。綺麗に装い、棺を用意し、火葬する流れまで、ダークな雰囲気を纏いながらも、美しさをにおわせる味わい深さを残しています。その一連の流れが凄くうっとりする……。

 2020年11月13日現在は、一作目の強制横スクアクション「命のない唄[A-Garden]」・それのスピンオフノベルの「命のない唄[奈落の庭]」・二作目のノベル「本能 :いのちのない詩」・そして三作目の横スクADV「棺 -生命のない歌-」まで公開されています。
 特徴的なのが、スピンオフを除いて一作目から三作目まで、それぞれ表現するジャンルが異なるということです。四作目はどうなるんだろう……RPGとかだろうか……四作目が楽しみです……。


■オバケ・ファミリー Stay Away, Stay Home(パズルアクション)
 オバケを退治しにきた人たちに捕まらないよう、九つの部屋を往復し、ベビーを守りながらパパが起きるまで見つからないよう奮闘するパズルアクションです。ポップなドット絵にコミカルな3Dアニメーションのイベント演出など、グラフィックや演出面などが特出しています。凄い……OPが3D動画なのにめちゃくちゃビビった……。

 定められた時間がくるまで、各部屋をうろつく三人の人間に見つからないよう、ベビーを抱えて逃げ回るのが基本的な動作です。
 マップには「全員をその部屋に誘導するピアノ」「マップ内にいる人間を一時停止させるシャンデリア」などの、いくつかのギミックがランダム配置されています。難易度によっては、出現するギミックも変化する。

 ギミックの中には「人間から隠れられるタンス」などがあることから、「なんだ、簡単だな!」と思うかもしれませんが、なんとも厄介なのが抱えているベビーオバケです。人間に見つかるとゲームオーバーになるのですが、ベビーにはそんな事情は知ったことではありません。
 ベビーを抱えてずっとウロウロしていると、メーターが上がって、限界を達すると大声で泣き叫びます。そしたらもう、一巻の終わりです。ああ……。
 それをどうにかするためには、ベビーベッドで寝かせて不安を軽減させる必要があります。ですが、ベビーだけが人間に見つかってもゲームオーバーです。自分もベビーも見つからないように、どうにかこうにか誘導や一時停止などをさせて、泣かないようになったらベビーを抱えて移動し、マズくなったらベビーベッドに行きと、ママのマルチタスクの大変さをヒシヒシと体験することができます。物凄く忙しい。

 それに加えて、開始時のギミック配置はランダムとなっているので、運が悪いとあんまり望ましくない配置になることもあります。ベビーベッドの横にピアノがあったりする。音で遠くの方まで誘導できねえッ!
 さらに地獄を見るような難しい難易度だと、ベビーをあやす他に、発電機を回す必要が出てくるなど、もうとにかくママ忙しい。起きて。パパ早く起きて。人間に見つかる前に忙殺される。

 シンプルな作りで短編でありながらも、やり応えがギュギュっと詰まっています。ぜひとも遊んでみてください。ママの忙しさが身に染みてわかるぞ……!


■ピクロジカル(パズル)
 それぞれ難易度の異なるお絵かきロジック(ピクロス)を解いていき、物語を進めていくパズルゲームです。ピクロスのルールに関しては色々と割愛しますが、本作はピクロスの基本形の他に、黒字の部分を一部教えてくれるお助け要素などがあります。マス目の多い難易度が高いピクロスや、ピクロス自体が苦手な人でも、これを適宜使うことで初心者にも優しいゲームとなっています。

 本作はピクロスを解いていくにつれて、断片的に物語を垣間見ることができます。少しSFチックな感じでしょうか。システムUIなどもサイバー感が出ていて、かつ市販と見まごうほどの洗練されたデザインで彩られています。個人制作ってなんだ……?
 操作性も全体的に良く、親切設計なところもあるので遊び心地は終始とても快適です。最後までサクサクと夢中になってプレイしていました……。


■ベビーシッター2XXX(ノンフィールドRPG)
 ランダムに入手する五十音のひらがなで三文字の単語を作り、できた単語で戦闘する、一風変わったノンフィールドRPGとなっています。一通りクリアまで遊ぶことができますが、まだまだ未実装の要素があるらしく、これからのアップデートが楽しみな作品です。
 ED分岐はありませんが、道中の同行者を選択できる小さな分岐はあります。

 さて、これをどう画像なしで説明するのかが難しい。「ひらがな」の所持数には限界があり、適宜売買したり、使って捨てたりして、手持ちの「ひらがな」を整理していく必要があります。
 また、中には三文字を作る上で「この一文字は使いにくいな」というような一文字もあります。特に「る」とか。逆に使いやすいものだと、「ん」とか「い」とかでしょうか。

 なかなか面白いのが、その単語の傾向により、「攻撃」「防御」「回復」など、アクションが変動することです。たとえば、組み立てたものが「たたく」などの攻撃的な単語である場合は「攻撃」、「まもる」などの防御的な単語であれば「防御」と、出来上がった単語の傾向、印象、意味などによって、どういう効果になるのかがほぼほぼ未知数となっています。
 その単語を紐解くためには、多少己の地頭が試されるところもあるのです。いや、情報を買って見つけ出すこともできますが、三文字で読める単語の数がかなりあるので、つい固定の単語だけに縛られることが多い。

 他にも一度使った単語とその効果を記録する図鑑や、ひらがなを使うときに一文字だけ保存できるキープ機能など、利便性のあるシステムがふんだんに盛り込まれていますが、全部解説していたらよくわからなくなるので、ちょっとそこいらは実際に手に取ってプレイしてください……。
 独特なシステムが多くて使い慣れるまで戸惑うかもしれませんが、なかなか今までにない新鮮さで楽しいです。

 物語……物語……。物語よりも、システムの濃さが前面に出ているので、記憶に残留しているのもシステムの独自性や、三文字で単語を作って戦うといえども、戦闘バランスがかなりシビアである面や、シビアでありつつも一応の救済処置が取られている親切設計など、もうとにかく技術面の方が色濃く残っている。
 唯一覚えているのは、女の子二人の旅路であることと、貫禄のあるおば様と貫禄のあるおじい様が出てくること……。雑魚敵でもなかなか手持ちの文字が悪ければ、物凄く苦戦することが多く、ボス戦ではもうとにかくギリギリで熱い戦闘であることも覚えている。

 落ち着け……落ち着け……言葉がまた纏まらなくなっている……。

 個人的に印象に残った話だけピックアップしますと、途中訳アリで同行者が一時的に変更できるのですが、貫禄のあるおば様が素敵すぎて震えている……。え……おば様……え……お姉様って言った方が失礼に値しないのだろうけれど、口調とその中性的な顔グラからして、おば様にもお姉様にもお兄様にもおじ様にも割り当てられない、なんかもう性別不詳の貫禄ある人にしか見えなくて震えてる……。
 性別不詳の中性的な人が好きなので、おば様と一緒に行動していて魅力にやられて死んでいた。そのことだけが、ハッキリと記憶に刻み込まれている。いいなあ、あの達観したような口調も……ああ……。なんで名称がおばさんだったの……。
 あと、敵対するおじい様もめちゃくちゃ格好良かった……年長者みんな貫禄ありすぎる……。

 まだ色々な機能が実装されていませんが、一通りクリアできるのと、独自性の高いシステムが凄く楽しいので、ぜひとも……。あとおば様をよろしくお願いします……。(同行者は二人のうち、一人を選択できるのでおば様だけではないです)


■Cigar In The Room(脱出+雑談ゲーム)
 メタ認知・メタネタがメタメタの、首のない人Cigarと雑談しながら、よくわからない密室から脱出するゲームです。
 メタのオンパレードで、さらには謎解きなどもそれに絡んだようなものが多く出てきます。中にはパズルなどを解く必要もありますが、どちらもあまりにも難しくて答えがわからなかったり突破できない場合、強行突破する選択を取ることが可能です。(自分は最初のパズルで使ってしまった。ぐぬぬ……)

 強制的にスキップしたからといってデメリットはないので、詰まってなかなか進めない場合は、積極的に使っていこう。でも自力で解けると凄く心地いい。
 謎解きで詰まって、かつ強制突破したくないといった方は、同梱されている攻略テキストを参考にしよう。うおおおお!

 露骨にメタネタのあるゲームは、冷めてしまったり、プレイヤーを糾弾してくるタイプが多かったりと、題材を扱うのが難しいものですが、本作はメタネタでありつつも残酷だったり糾弾してくることもなく、むしろユーザーフレンドリーに相棒のCigarはプレイヤーに語り掛けてくれます。終始落ち着いたオシャレな喫茶店で、静かに雑談をしている感覚です。あったけえ……。
 Cigarは自分のことを聞かれないとあまり話さないので、こちらから積極的に雑談してみましょう。会話パターンがランダムに変化して、様々な雑談を聞くことができます。また、中には謎解きのヒントとなることをポロッと話すこともあるので、注意深く聞いておきましょう。

 どこまでもメタネタを貫いている本作、盛りだくさんのメタネタを楽しむのにとても最適です。あとCigarとお喋りするのも楽しい……。